「樽」と「桶」論争

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 「これは樽だ」と「いや、桶だ」。
 「お前は桶屋だ!」。
 「違う、うちは樽屋だよ!」。

 ぼくは、こんな論争が大好きである。そして、こんなちょっと知的でちょっと娯楽的な論争のタネを持ち込んで来るのが、竹内和子さんなのである。
 和子さんからのメールを無断で拝借する。

  ◎
 私の同級生で樽屋の娘と会社員の娘の会話です。
 会社員の娘が、樽屋の娘に、”桶屋の娘”と言いました。樽屋の娘は、憤然として「うちは桶屋じゃない」と言います。
 「うちは樽屋だ!」。
 会社員の娘は、「桶屋も、樽屋も同じだ」と言い返す。

 それから大論争になり、桶屋は、樽屋より格式が低いと言う事が論じられました。
  ◎

 和子さんのメールはそれから〝樽と桶の違い〟〝半田地方の樽と桶〟そして、
 「もう一つ申しますと、背の高さくらいの大きなのは六尺あるので、普通は〝ロク〟と言いまして、酒や味噌を醸造するときに使う〝樽〟を指して言います。
 夏場に、酒つくりの準備にロクが、洗って、庭に干してあるのを見ています。今は、琺瑯びきの桶かもしれませんが、木で作った六尺の物は、樽であって、桶ではありません」。

 と郷土風景と持論を展開する。
 確かに酒造どころの半田地方は酒樽の生産も盛んだったようだ。また、大相撲の土俵際で使う力水を入れる桶は、長年、亀崎の〝桶屋〟が造ったもので、その職人は無形文化財だった。

 さて、「桶屋」より「樽屋」の方が格式が高いと、「樽屋」は「桶屋」をバカにする…。なぜだろう? これも面白い。樽は桶よりも大きいから? 樽は酒や味噌など高価なものを入れるのに、桶は水用だからから?
 どうぞどなたでも、この意味の無い論争にご参加ください。
 ぼくはこんな生産性のない論争が大好きである。

  *写真は武豊町の老舗味噌蔵・中定商店の味噌樽。
  そしてご存じ、北斎の富士の絵だがこれは樽だろうか桶だろうか。

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