しみじみと冬
寒くなった。
冬が来たようだ。でも、ぼくは冬は嫌いではない。寒くて、かじかんだ手に、ふっ~と息を吹きかける。
その感覚の冬が好きだ。
冬になると、いつも思い出すのが、この短歌だ。
ぼくが一番好きな歌がこれかもしれない。
練炭の清き炎に一合の ミルクをのせてしみじみと冬
歌壇の先輩、九州の松本さんの作品だ。
松本さんは酒豪で、酒で身体を壊した。そして長く生きなかった。
そんな内輪事情は別にしても、清き炎に、少し湯気が上がりだしたミルクが見える秀作だ。
練炭の清き炎に一合の ミルクをのせてしみじみと冬
こんな風に冬を味わってみたいものだ。