京都みやげ話

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 「絵入本学会」に出席のため、久しぶりに京都に行った。
 会場は同志社大学の今出川キャンパス。懐かしい界隈だ。

 少し早く来たので周辺をぶらぶら。すると理髪店が。
 そうだ散髪をして時間を潰せばちょうどいい、店内に。

 「うちは創業100年ですよ。同志社にも負けしませんデ」と店主。6代目という。お年はゆうに80歳を超している。

 話の好きなご主人で、ハサミを止めて話し込む。
 忙しい時なら困るが、きょうはちょうどいい。
 「うちには京都御所の職員が大勢みえますねん。そうそう、あなた、皇太子殿下を知ってまっしやろ」
 「皇太子を知らん日本人がおるかよ」と言いたいが、ぐっと我慢。
 すると、皇太子が京都に来た時の様子を縷々と話してくれた。
 どんな酒が好き。何が好物。朝飯はどこどこのサンドイッチ…
 ネタの仕入れ先が御所の職員だから、なかなかレアな話題。
 今度、みなさまにも教えてあげる~。

 「絵入本学会」は主に近世絵本や挿絵、浮世絵などを研究する学会だ。
 驚いたのは、今回の研究発表者10名のうち2名が外国人だったことだ。
 オークランド大学のマルソー教授。フランス国立東洋言語文化大学のマルケ教授だ。

 現在、浮世絵文化、特に春画研究などは外国から逆輸入されている。その方が日本の学会ではステータスが得られるようだ。
 残念だが、それが現状。吉原遊郭文化もそうあってほしいとも思う… が…。

 学会が終り、近所のレストランで懇親会。
 面白い光景を目の当たりに。
 ぼくの隣が慶応大の日比谷先生。その前がマルソー先生、その隣にも外国人の先生方が3人。
 会話が始まる。
 外国人の先生は日本語で話しかける。それを受けて日比谷先生は英語で答える。
 もう一人の外国人の先生とも英語対日本語の会話だ。

 ぼくはへそ曲がりだから、「お互いに外国語が出来るということをひけらかしている」と思っていた。

 家に帰り、女房にそのことを話した。
 「あなたは誤解してるよ。それはね、相手が少しでも話の内容を分かってくれるように、相手の母国語で話すのよ。それが思いやりよ」。
 あんたは程度が低いね、と言われてしまった。

 言われてみれば、例えば小さな子と話す時、ゆっくりと、なるべく難しい単語を使わないようにする。程度こそ違え、それと同じだった。

 ああ、ぼくのヘソは、今年も曲がっていた。

 ♪もう幾つ寝ると~ お正月~
 もう寝るわ。
 どうぞ良いお年を。

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