佐吉が好きなタバコは敷島

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佐吉小伝⑦
15~16歳まで従順な明るい少年であった佐吉はタバコなど口にしなかった。絶対しなかった。多分してない。おそらくしていない。かな。その後の山口夜学会の勉強会では、大人のマネして勉強の合間に、ちょっとだけよ。が、あったかも。何時の時代も若者は大人ぶってみたいものである。満二十歳の春に、軍隊へ志願して徴兵検査に行ったが、幸か不幸か「抽選のがれ」になってしまった。もしかすると、その時に煙草をもらっちゃったかな。軍隊ちゅうところは、兵隊にタバコを支給して「タバコ吸い」を増やして、そこから税金を吸い上げるのだ。
明治31年になって、国が民間業者から取り上げ、タバコを専売にしてしまった。佐吉が好きなタバコは敷島である。敷島は明治37年に日露戦争の戦費調達の目的で発売されたもの。それじゃー、佐吉はその前は何を吸ってたんだい。佐吉はキザミ煙草が旨いぞと浅子夫人に勧めたこともあった。
敷島は寺田寅彦が「恐ろしく紙くさい」と言ったとか。敷島はインテリ、朝日は労働者に好まれたようだ。だが、夏目漱石は朝日が好みだったと聞くと、好きにしてちょうだいということになる。ともかく、タバコを吸わないオイラにはどうでもいい話でした。
* 写真は明治後期発売の敷島のパッケージ

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