半田の次郎長伝説
本を探していたら、11年前の新聞の切り抜きが出てきた。
2004年10月11日の朝日新聞。6段抜きの大きな記事だ。
よく書いてくれた。朝日さんありがとう。
見出しは、「半田の次郎長伝承 本に」。
清水の次郎長が半田市乙川、今のパワードームの駐車場辺りで、保下田の久六を待ち伏せて斬ったという伝承を考証して、西まさるという人が本にしたという記事だ。遠い昔の他人事のような気がする。
西は私だが、肩書はルポライターとなっている。
あぁ、思い出した。当時、週刊文春などの契約ライターだった私の名刺には、ルポライターと記してあったからだ。
ルポルタージュの仕事は面白い。
この次郎長伝説だってルポそのもの切り口で書いた。
ところで、半田の次郎長伝説もいい加減なものがあって、それを否定すると随分、叱られたものだ。
「久六は自分の妹を亀崎村の代官の妾に差し出し、代官の威光を借りて悪事を重ねた」
「次郎長はその代官を斬った」。
なかなか出来た話で面白いが、亀崎村に代官所はない。代官所がないから代官はいない。だから代官を斬りようがない。
そう書いたら叱られた…。
「次郎長地蔵は亀崎の海で漁師の網に掛かったもの」
「次郎長は追っ手から逃げる時に銭をばら撒いて逃げた」。
いろいろな作り話に満ちた伝説、伝承。
壊さずに、このまま伝承していった方がいいかな? と思ったりする話もある。
楽しければいいのが昔話、おとぎ話。
そうもいかないのがルポルタージュ。
この商売も楽ではない。