小学生が次々と
突然、事務所の戸が開く。
「すみません~! 西の宮貝塚のことを教えてください~」。
小学3年生という。
30分後、また。
「すみません~! 西の宮貝塚のことを教えてください~」。
今度は母親が一緒だ。母親は小学生の少し後で、ぼくに会釈をするというか、睨むというか、「よろしくお願いします」と口では言うが、「うちの子にちゃんと親切にしないと私が許さない!」という顔で立っている。
半田市乙川の西ノ宮池近辺に残る貝塚は人骨も貝殻も出た縄文遺跡だ。だが、ぼくは古代史の研究家ではないし知識も薄い。だが、児童たちが「すみません~! 教えてください~」と来る。
学校で研究発表のテーマが出され、その一つが地元の「貝塚」「古墳」などという。こんな専門外のことをぼくに振られているようだ。しかし児童たちはぼくが専門家と思い、ノートを手にやって来ている。
まさに困ったものだ。
これには心当たりがある。
数年前、乙川小学校の4年生の社会授業の一貫で「西の宮貝塚」が採り上げられ、30人ほどの児童の前で、ぼくが不確かな話をしたことがあった。その時の記録が学校にあって、今の先生がぼくの名をあげたのだろう。
「すみません~! 西の宮貝塚のことを教えてください~」。
おいおい、また来た。シャッターを下ろして居留守をつかうとするか。
写真は「二子塚古墳」。前方後円墳である・阿久比町宮津公民館の前にある。前の駐車スペースと比べると分かりやすいが、小ぶりなものだ。
この古墳の真贋も論が分かれている。学者でも決められないものをぼくに訊きに来るな、と言いたい。
早よ、シャッターを下ろそう。