忠臣蔵 遺恨の料理の献立
時は元禄14年3月14日。江戸城は松の廊下で「遺恨あり~」と刃傷沙汰。
有名な忠臣蔵の幕開けである。
浅野の用意した勅使饗応の料理を、吉良がいじわるして遺恨が深まった。そんな筋書きもある忠臣蔵だが、
勅使接待の料理の献立は数日前というか前月から既に決まっているものだった。
だから、当日に揉め様もないのだが、芝居や映画のことだから面白くていい。
ただ、当日、勅使たちが何を食べたかは知りたくない?
その原典のメニューを西まさるが入手して、『忠臣蔵と江戸の食べもの話』(新葉館出版)に書いてある。
本当は、本を買って読んでよ、と言いたいのだが、少しだけお見せする。
まず三つの三方が出る。
一つには敷紙に長熨斗。
一つには雑煮椀、梅干盛、田作盛。
三番目の三方は蓋置きである。
その三方がすべて片付けられ、いよいよ三汁十一菜の本膳料理となる。
○本膳は、
膾(鯛・よせ赤貝・白髭大根・木耳せん・栗生姜・金かん)。
香の物(奈良漬瓜・守口大根・粕漬茄子・味噌漬人参・味噌漬なた豆・塩山椒)。
煮物(ひらき鴨・色紙麩・つみせり)。
汁(つみれ・しめじ茸・葉大根・薄皮牛蒡・めうど)。
ご飯。
○二の膳は、
杉箱(結えい・花形山吹・穂くわい・広岩茸・八重成・敷みそ)。
小桶(のしもみ)。
汁(鯛背切・木の芽)。
酒浸(塩引鮭・もみしめ貝・黒くらげ・よりかつお・山川酒)。
○三の膳、
差し味(鯉子付・かき鯛・えんす・海そうめん・くねんぼ・わさび)。
煎酒。
汁(わかめ)、茶碗(花みる貝・土筆・かけしお)。
○与の膳、
向詰(小鯛・かけしお)。
○五の膳、
洲浜台(大坂かまぼこ・みの焼あいなめ・あんかけたいらぎ)。
平皿(甘鯛ふわふわ・みの笠茸・鍵わらび)。
以上が、五の膳の三汁十一菜である。
これが勅使饗応料理の全て。原典通り。
他のことは本を読んでね。