忠臣蔵と江戸の食べもの話 西まさる
ぼくの本の宣伝でごめん。
このたび『忠臣蔵と江戸の食べもの話』という本を新葉館出版から出した。
自分では書きにくいので、図書館流通センター(全国の図書館に本を斡旋する会社)のPR文があるので転載させてもらう。
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忠臣蔵と江戸の食べもの話
ご存じ「忠臣蔵」をナビゲーターに、江戸の食べもの事情を探訪しようとする興味深い企画だ。
というと、軽い作り話を連想するが、軽妙なのは文体や鼎談の口調だけ。内容はしっかりと裏の取れた重いものである。
それもそのはず、著者の西まさるは社会派ノンフィクション作家。料理や献立に関する知識は、日本料理宗家「四條流」家元の入口修三と同派の資料から。
元禄食べもの事情は、主に西鶴研究者の早川由美。
学究者の視点がふんだんに盛り込まれた一冊である。
浅野内匠頭の最期の晩餐は何? 吉良上野介の最期の晩餐は? 大石内蔵助の好きな食べ物は? 四十七士は討ち入り前夜に何を食べた? 討ち入り後、四十七士はどんな酒を呑んだ?
また、赤穂事件すなわち浅野と吉良の喧嘩の原因の新説や、内蔵助の放蕩にまつわる遊郭、遊女事情も興味深い。
さらに江戸下町の町人たちの暮らしぶりにも話は及ぶ。
江戸の長屋には、「庖丁もまな板もなかった」。「おかみさんたちは惣菜を外で買っていた」。などなど、意外と知られていない下町の史実が次々に出てくる。
逆に江戸城内の台所事情も詳しい。
これは当時の天皇家、江戸将軍家の料理頭取を務めていたのは四條流宗家の高橋家、石井家であり、本書の取材源はその四條流家元であったからだ。
なんと、元禄14年3月14日、まさにその日の勅旨饗応料理の献立表も掲載してある。
おもしろ話を標榜するが、実は資料的価値も高い一書である。
中学生から高齢者まで、幅広い層に読んでもらうようルビも丁寧に入る。折々に挿入される挿絵や古川柳もよく効いている。
読み物としても楽しく、また、近世の食べもの事情を記す、軽い歴史書としても読める良書である。
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11月中旬から書店発売。アマゾンなどすべてのネット書店でも対応。
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