悲しき横綱の生涯 大碇紋太郎伝  西まさる

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「せっかくのブログなのに、自分の本の宣伝をしないなんて、おかしいよ」と愚妻に叱られた。(愚妻とはいい響きだ。スッとする)
 私は物書きが生業で、注文に応じた原稿は何でも書くが、自分の本の書評や宣伝は実に書きにくいものだ。ほめたら嘘みたいし、けなしたら威張っているみたい。まして、この本のここをこう読んで欲しいなどとはプロのプライドにかけて言えるわけはない。
 要するに黙って本を差し出すしかないのだ。
 昔、出版社に勤めていた時、某作家を連れて大書店でサイン会をしたことがある。本を積み上げて作家は待っているが、人はパラパラ。見かねた書店が店員さんをサクラに出してくるが、そんなものはすぐにネタギレ。その時、突然、作家の秘書が踊りだした。若い娘さんである。胸元をチラチラみせながら踊る、踊る。私も思わず大きな声で「○○先生のサイン会を開催していま~す」と呼び込みを始めたのだ。
 少し人が並んでくれた。
 本はこうして売るものではないが、こうして売った本もあった。
 「悲しき横綱の生涯 大碇紋太郎伝」をどうぞよろしくお願いします。私の秘書ならぬ愚妻が胸元をチラチラ見せながら踊りますから― 。

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