明けましておめでとうございます

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 1月4日(日)、浮世の義理で豊川稲荷に行った。
 豊川稲荷に着いたのは午前9時。早かったこともあり人出は多くない。ゆっくりと懐かしい境内を歩いた。

 「懐かしい」と言ったのは、約35年も前のことだが、やはり浮世の義理で2年間に10回ほど、それも毎月1日に、ここに来たことがあったからだ。
 当時、ぼくは岡山市に居た。そこから新幹線で豊橋に、豊橋からタクシーで豊川稲荷に。それも10数人での旅。しつこく言うが毎月1日にである。
 感の良い方やその業界をご存じの方なら、ぼくの「浮世の義理」がどんな義理かお分かりになるかな。朔日詣である。

 その時のこと。こんな流れだった。
 豊川稲荷に着く。若いお坊さんが数人、出迎えてくれる。本殿に通され、お参り。
 参道の馴染みの店に行き、酒と焼き鳥とおでんと稲荷寿司。「適当に持って来な」。
 さっと30分ほど滞在。
 お札を数枚、ぽんと投げて「ありがとよ」。
 「お兄さん、お釣りです」
 「朔日詣だよ。お店の娘たちに祝儀だよ!」
 そんな調子で3軒ほど回り、タクシーで豊橋へ。

 気前が良すぎるんじゃないの? ぼくが聞く、
 「俺たちは、男を売っているからな」

 男を売るのは随分と高くつくのだ。

 おっと誤解をされてはいけません。
 ぼくは当時『週刊実話』『アサヒ芸能』などの取材でその筋の人と2年弱、交流しただけで、ぼくの背中に刺青はありません。
 それと今年の「浮世の義理」はそんな浮世ではありません。

 そんな35年前を思い出しながら、味噌おでん3本と缶ビール2本。
 「いくらだい」
 「1180円です」。
 ぼくは2000円をポンと出し、
 820円のおつりの来るのをじっと待っていたのであります。

 これでは、ぼくの男は、なかなか売れませんな。 

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