映画『制空』と亀井文夫人気

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 NHKが使いたいというので、映画『制空』をお貸しした。
 ちゃんと映っていないといけないので、久しぶりに観た。昭和20年3月に撮った国策映画だが、なかなか見所もある。社会派監督、亀井文夫の力量なのだろう。

 このDVDを実費(1000円)でお分けしているのだが、結構、人気がある。そして購入者は、はっきり2つに分かれている。
 一つは、亀井文夫ファン。映画ファンだ。注文の電話やメールで分かる。質問もぼくが答えられないようなレベルのものが多い。
 もう一つは、学徒動員の経験者。特にこの映画の大半は、中島飛行機半田製作所が舞台。ロケ地でもある。実際に登場する工員さんや職員さんは半田製作所に働く人をエキストラに使っているというし、『中島飛行機の終戦』でお馴染みの藤森正巳氏も出演しているのだが、どの人なのかは不明だ。

 女子挺身隊が行進して工場に入るシーンなどはまともだ。阿久比川沿いの堤防道を行き、歩調をとって工場へ。数百の顔がいかにも、当時の女子学生という雰囲気だ。

 「中島飛行機○○製作所」の看板が映る。○○はモザイクで消してある。
 「なぜ、半田の文字を消したのだろう」とぼくが聞くと、戦時経験者は即答。
 「この映画から、半田製作所ということが分かるとアメリカ軍に狙われるからだ。軍需工場だから、秘密がいっぱいあるのだ」。

 なるほど、と納得したが、その7月には空襲。半田製作所は壊滅。実質的になくなってしまった。

 映画では、勇ましく飛び立っていった「彩雲」だが、残念ながら次の写真のような姿になったのが、ほぼ全機。
 どう言ったらいいのだろうか。寂しくなる。

 NHKは半田空襲を特集する。この映画にどこかのシーンを効果的に使うそうだ。今週オンエアとのこと。

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