核廃絶/平和行進
今年も核廃絶のための平和行進が行われている。全国各地から「ノーモア・ヒロシマ」を訴えながら歩いて広島に向かう運動だ。
わが事務所の前にも行進が通る。昨年も、一昨年も、その前もやって来ている。
数年前だった。こんな出来事を思い出した。
愛犬リン(今年2月死去)を抱いて平和行進を見ていると、行進の中から美しい女性がぼくに近寄って来て、「可愛いですね」と言った。むろん、ぼくのことではない。リンのことだ。
「行進、大変ですね」とぼく。
「平和のためですもの。大丈夫です」と女性。
「少ないですが…」とぼくはポケットの600円だったか650円だったかをカンパした。ちょっと惜しかった…。
女性に対するいい格好も(多少)あったが、平和のためのカンパだった(本当かい!)。
そんなことを思い出しながら過ぎて行く今年の行進を見ている。
総勢200名ほど、警備の警官が10名ほど。言葉は悪いがチョロいデモ行進だ。こんな程度で核兵器を廃絶できるもんか! と言いたくなる。
ヒロシマにぼくは思い入れがある。若いぼくの青春の1ページでもある。長くなるから詳しくは書かないが、「核兵器による無差別殺戮」はどんな理由があろうとも許してはならない。
焼け焦げて転がる死体のほとんどは市民だ。女性、子供、非戦闘員ばかりだ。市民を無差別に大量に殺して平和が来るわけがない。
そんなこと、オバマ大統領だって知っている。
平和行進は今、半田市乙川地区を過ぎて行く。街の人たちは遠巻きに、あるいは窓の陰から行進を見ている。そんな乙川村の人の顔には、「こんなお上に逆らう政治的行動をしたら村八分にされてしまう。触らぬ神に祟りなしじゃ」と書いてあるのが見える。
チョロい行進は歌を歌いながら去っていった。ぼくの掌の中に100玉が2つ残った。今回はカンパを頼まれなかったから出さなかった。100円玉は手の汗で濡れていた。