榊原救済所に車椅子用の歩道が
救済所跡地公園(史跡公園)の清掃を保存会の方々がするというので出かけていった。と言っても、ぼくは清掃をお手伝いする体力もないので、せめてもの罪滅ぼしに缶コーヒーを差入に行っただけだ。
行ってみて驚いた。史跡公園の最深部に歩道を造っているのだ。それも木製の橋のような歩道をだ。
近隣の小中学校の遠足のコースにこの史跡公園を入れてもらい、多くの児童、生徒に「亀三郎の偉業」を知ってもらいたい、という働きかけを数年間からしていた。学校はなかなか許可をしなかった。それは公園に来る県道に歩道がなく児童の遠足路としては危険。そんな理由からだった。
それならば県道を迂回して車の少ない安全な道を通って史跡公園の裏側から来てもらおうという交渉をした。そして、それが認められ、ようやく学校から許可が出た。
だが、その為には問題が2つ。公園に裏から入るには隣接する上中建築さんの敷地を通り、さらに竹藪の中に歩道を造らねばならない。
上中建築さんは快く承諾してくれた。そして竹藪の中の細道。こんなものはお茶の子さいさいだろう。たった1メートル幅、長さも10メートルもない。竹を伐ってバラスで足元を固めれば素人でも簡単だ。
そう思っていた。
ぼくが公園に着くと、その歩道に板を張っているではないか。まるで小さな細長い橋のようなものを造っている。
「何をしているのですか」
「板で足元を固定している」
「なぜ、そんなことを」
「児童の中に車椅子の子が1人いるんだそうだ。その子のためだよ」。
あっぱれ! その子1人のために車椅子でも通れる道を造っているのだ。 あっぱれ! これでこそ弱者救済所・史跡公園だ。これぞ亀三郎の心だ。
目頭が熱くなる思いだった。