永平寺奮戦記
金沢から福井。仕事プラス野暮用である。
以前から優子が永平寺に行きたいと言っていたので、今回、気が重いが意を決して行くことにした。というのも、ぼくは例の病気以来、歩行が辛い。本当は積極的に歩くのが何よりのリハビリなのだが、生来の怠け者。努力するのが大嫌い。だからあの大きな永平寺の中を歩くなどと考えただけでもゾッとするのだ。
「参道の入口の蕎麦屋でビールでもチビチビやって待っているから、あなた一人でお寺には行って来てよ」
という約束で永平寺行きとなった。
福井駅から特急バスで30分。永平寺の参道前に到着。運転手さんに聞くと、「参道を徒歩7分上ると本堂の山門」と言う。普通の人の徒歩7分、杖をついたぼくなら15分の登山。とてもじゃないが願い下げだ。
「約束通り、一人で行ってよね」と念をおしてバスを降りる。
そこは、おみやげ屋さん「一休」の前だった。蕎麦や酒もある店だ。「ここに居よう」と思った瞬間、お店の女店員(主人?)がぼくに声をかけた。
「山門まで上り道はきついですよ。車でお送りしましょう」
杖のぼくを見て、親切に言ってくださったのだ。福井の人はやさしい。
そう言われて断るわけにもいかない。
さらに優子はぼくに、「永平寺の仏さんがさぼらずに上がって来い、と言っているんよ」と追い打ちをかける。
「わかった」。
そして山門へ。
ここまで来れば寺院内に入らないわけにいかない。恐怖の苦行が始まったのであります。
広大な境内。凛とした本堂。
素晴らしい雰囲気だが、杖をついてゼイゼイ。まさに修行僧そのものである。
そして何とか・・・・。
帰りも山門まで「一休さん」に迎えに来ていただく。もちろん、ありがとうと言うだけではいけない。お店でゴマ豆腐、山菜の天麩羅でビールを2本。おみやげも一杯買わせていただいた。
ヘトヘトになって福井駅に。がんばったせいで腹が減った。
気の利いた居酒屋があった。そこでブリの刺身、イカの刺身、福井のおでん、焚き合わせなどで痛飲。優子も福井の地酒・一本義でご機嫌。帰りの列車で鯖の棒寿司でビール。
それなのに帰ってみてみてびっくり。体重が2キロ落ちていた。
まさに修行のたまものであった。
*本堂へ続く階段をみてほしい。ここを昇った。(いばるほどでもないか)