豊田章男社長に期待を

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 ここ一ヶ月程、トヨタのニュースが流れない日はない。しかし、それは全てトヨタにとって悪いものである。現在の自動車は一台パソコンを積んで制御しているようなものである。かつてのように油にまみれて修理するものとは違ってきている。特にハイブリッド車においては新技術ということもあり、複雑な制御が必要である。
 だが、今のトヨタの苦境は必然であったと思われる。出る杭は打たれるということかもしれないが、最大の間違いは世界一になることをあわてた結果であろう。技術的にも、販売環境においても、しっかりと足元を造り上げてから、目標の達成に努めるべきであった。
 豊田佐吉は「発明私記」の中で次のように述べている。『此ノ如キ創造的ナモノハ、先ヅ自ラ之ガ製作ニ従事シ、深甚ノ注意ヲ払ヒ、幾多ノ実験ヲ重ネタル後ニ非レバ、到底完成セシムル能ハズ。之ガ製作ヲ他ヘ託スルガ如キハ、決シテ為スベカラザル処ニシテ、必ズ蹉跌ノ基ヲナシ、噛臍ノ悔ヲ残スベク、大イニ戒ムベキコトナリ』佐吉が井桁商会の失敗後の言葉として残したものである。
 トヨタが置かれている情況は当時とは全く違うであろう。しかし、一人間として決断しなければいけない情況としては同じである。ジャストインタイムやカンバン方式の前になすべきことがあるのではないだろうか。お客様の視点に立った「もの造り」であり、その「もの造り」をする人間をつくることではないかと思う。
 豊田章男氏はその手腕を買われて社長に就任したであろうが、同時に佐吉、喜一郎、章一郎と続く、豊田家本家の人間としても期待されて、その任に就いたのであろう。結果として、この逆境には幸いと言おうか、最も適任の人選となったのである。果断な行動を大いに期待したい。

*写真は豊田佐吉・喜一郎・章一郎・章男 (敬称は略)

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