在庫状態 : 在庫有り
- 著者 : 西まさる
- 体裁 : 四六判ソフトカバー・330頁
ISBN978-4-8237-1036-0
高倉健主演で大ヒットした唐獅子牡丹シリーズの実在モデルとなった飛田東山(ひだ・とうざん)には、背中から胸、尻から太ももまで彫られた、見事な“唐獅子牡丹”の刺青がある。だが彼は決してヤクザではない。
東山が生涯貫いていたのはたった一つ「弱きを助け、強きを挫く」ことだ。東山は小河内ダムの基礎工事などの実績を築くことになる土木建築・船舶荷役の「飛田組」を創業。弱い者を助ける義侠心、横暴な力にむかう反骨心で、後に下層労働者の労働と生活環境を守るための初の全国組織「社団法人 扶桑会」を結成した。
東山の交友関係は多岐にわたる。東京・青梅の東山邸には、岸信介、中曽根康弘、田中角栄といった大物政治家や将官クラスの軍人、渋沢敬三、住友銀行の堀田庄三や浅井孝二、電源開発総裁・藤井崇治などの大物政界人、稲川組・稲川聖城などの広域暴力団の組長、吉川英治、尾崎秀樹、尾崎士郎、朝倉文夫、川合玉堂、島田磬也、村田英雄、高倉健といった、その道の一流の著名人たちの訪問が絶えず、時に国家の未来を左右する重大な相談事が持ち込まれたりもした。
還暦に合わせて行った東山の生前葬には一千人が参列したという。しかし彼らビッグネームの殆どの自伝や回想録には、まるで口裏を合わせたかのように、あれだけ親しかった東山の名が一切出て来ない。
フィクサー、黒幕、影のドン、無冠の帝王と言われ、日本の権力の暗部に出入りした東山は、なぜ昭和史の表舞台から消されたのか。
誰も書かなかった、書けなかった飛田東山の謎。
昭和史のパンドラの匣が今、開く!