「終戦の日」の特集
はんだ郷土史研究会の毎年の7,8月の例会は、「終戦の日の半田」を採り上げて来た。
昨年は、「玉音放送」をフル再生してみんなで聴いた。
昭和20年8月15日の正午の時報から始まる20分に及ぶ「終戦の詔勅」の放送である。ほとんどの人が「こんなに長く、こんな丁寧な解説まであったのか」と感想を漏らした。
「玉音放送は聴いたけど、雑音も多く、何を言っているのか解らなかった」と言う大方の感想は眉唾であることがいみじくも分かった。
雑音は確かにあったのだろう。しかし当時のアナウンサーが明瞭に内容を話している。これで内容が理解できないはずはない。ではなぜ「理解できなかった」と多くが言ったのだろう。
たぶん、多くの国民はラジオ放送を聴いていなかった。あるいは聴いたと誤認(故意に)していたのだろう。
実は、一般国民はラジオ放送どころでなかったはずだ。毎日のめしの心配。空から降ってくる爆弾の恐怖。家を焼かれる恐怖。子供の身の安全。それらに全神経が向いていたのではなかろうか。
だが、天皇陛下のお言葉を聴かなかったと言うと、憲兵に殴られる。町内五人組から村八分にされる。だから、「聴いたけど内容は理解できなかった」と当たり障りのないようにしていた・・・のである。
ああ、悲しきは庶民である。
8月21日の例会は「あなたの終戦の日」を会場のみなさんに聞いてみる。むろん、既に終戦の日を知らない人が大部分だろう。
ぼくもそうだ。
でも聞き伝えでもいい。それを語り継ぐのが郷土史研究である。
○写真は有名な「玉音放送を聞く人たち」だが、どうやら新聞社が撮ったやらせ写真らしいというのが有力。ラジオを聞く男女のこざっぱりした服装、整髪ぶりもあやしい。
○対して、沖縄を占領した直後に米軍が撮った「沖縄の子供たち」。やせ細り・・・。感想も書きたくない。この子たちが戦争の最大の犠牲者である。