常滑中学校へ
10月10日は「陶と灯の日」といい常滑市の記念日という。
5回目というから歴史は浅いのだが、常滑焼の啓蒙に一役買っているようだ。
なぜ、10月10日? と聞くと、
伊奈長三郎(6代目)の命日だから。
陶工家に生まれた彼だが、遺した仕事は「伊奈製陶」を興し、常滑焼を産業振興させた功績が大きく、常滑市の恩人という。
常滑市の初代市長でもある。
11日に常滑中学校に呼ばれた。
中1、中2の生徒さん550人の前で50分間、話をしろというのだ。
正直、尻込みした。
550人に怖気付いたわけでない。4~500人なら経験もある。但し、それは大人だ。
多感な、やんちゃな中1、中2。
会場は私語が飛び交い、中には取っ組み合いの喧嘩も。
菓子を食うやつも・・・
ぞろぞろと会場を出て行くやつも・・・・
そんなことを想像していた。
ある種、覚悟もしていた。
ところが、ところがだ。
整然とした体育座りの列は、50分間、一度も乱れなかった。
50分間、私語は一言もなかった。
全員がじっと壇上を見ていた。
ただ見ているだけでない。何かを得ようとする目があった。
講演やカルチャーセンターの講師など、人前で話す仕事の多いぼくは、受講者が「聴こうとしている」か、「聴いたふりをしているか」は、何となく分かる。
常中のみんなは「聴こうとして」いた。
ぼくのそれまでの認識が恥かしい。
常滑中学校の中1、中2生、全員に謝る。
変な先入観を持っていてごめんなさい。
そして、今の子どもたちも捨てたものじゃない、と思った。