心頭滅却すれば暑くない?
熱中症警報というのがあるそうだ。きょうは朝9時に発令されたという。
ともかく暑い。そして暑さのせいか、「心頭滅却すれば火もまた涼し」という慣用句が頭を過ぎった。
この句は、快川紹喜(かいせん・じょうき)という僧が火あぶりになる際に残した辞世の一節らしい。火が身体を焼こうとするときに詠んだのなら、すごい精神力だ。
昔の人は見栄っ張りなのか、負けず嫌いなのか、このような美学を持った人が多くいたようだ。
これから切腹をする武士が、最後の茶菓子に柿が出てきたのをみて「柿は腹が冷えるからやめておく」といったのもその口だろう。
石川五右衛門だって釜茹での刑にされる最中に、「石川や浜の真砂は尽きるとも 世に盗人のたねは尽きまじ」と詠んだのが事実なら、快川僧と同様の美学だ。
そんな美学を私は持ち合わせていず、「アジィー アジィー」と蝉のように鳴くだけである。せいぜい、「五右衛門は 生茹でのとき 一首詠み」と冷やかして溜飲を下げるしかない。
しかし、そればかりではいけない。思い切って、「心頭が 焼けてしまえば 暑くなし」と言い切る。どうだ、少しは涼しくなった?
明日も熱中症警報が出そう。
「アジィーよ~」。