戦中戦後を生きた九十歳の手記
『戦中戦後を生きた九十歳の手記』が間もなく上梓される。
昭和2年生まれの竹内和子さんの手記だ。
彼女が書きたかった、すなわち現代の人たちに知ってほしかったことは、ただ一つ。昭和2年頃から昭和15年頃までの世相と政治の方向が、今現在と酷似しているということだ。
そしてこの先は、昭和16年12月の開戦。国家総動員令。数百万人の死者。広島、長崎の惨事。そして敗戦後の食べ物のないほどの貧困、超インフレ。紙キレとなった紙幣。
そうなると警告する。
そんな道を90年も歩いて来た著者・竹内和子さんが私たちに問いかける。
「今の政治情勢、この道はいつか来た道。忘れもしない戦争への道」である。
「一億総活躍社会」は、「一億火の玉」に似ていないか。などはハッとさせられるくだりでもある。
本には貴重な写真なども挿入。その一枚が学徒動員の職場風景。著者の友人の提供のもの。娘さんたちが学業を放棄して軍需工場で働いた。
その写真をよく見てほしい。どの娘さんもまだ幼い顔立ち。でも頭の中は「前線に武器を!」と洗脳された軍国少女なのだ。それを頼もしいとみるか、悲しいとみるかはあなた次第だ。
一読の価値のある一書。ご感想は読後に。
来月にもネット書店で買える。1200円。