榊原亀三郎の命日
「西さん、お墓参りに行くんでしょ。ぼくもお供します」
イラストレータのスギウラフミアキ君だ。
えっ、と言葉を失ったぼく。
・・・そうだ、今日は榊原亀三郎翁の命日だ。
亀三郎翁は大正14年5月8日に半田駅近くのガードで事故死。90年前のことだ。
それに伴い、その7年後に榊原弱者救済所も閉鎖。
日本初、日本最大の、民営弱者救済所は無くなった。
その救済所跡を保存しようと、懸命に運動しているぼくたちだが、亀三郎翁の命日を失念していた。
フミアキ君はまだ20代半ばの人。まさに、〝負った子に教えられたり人の道〟である。
さっそく翁の墓に出かけた。
雑草の中、凛と立つ「行基の石塔」。この下に翁は眠ると聞いている。
移転を予定しているこの土地だから、ここでの墓参は、おそらくこの日が最後かもしれない。
まさに、半田の偉人であるが、この日、ここを訪れる人は誰もおるまい。
「南無阿弥陀仏」
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*墓に手を合わせるのがスギウラ君。