豪商と運河 お茶
久しぶりに半田の中心部にある中村町に行った。
かつては知多半島を代表する豪商の豪邸が建ち並んでいた一帯である。「かつて」と書いたが、今も豪商邸は残る。小栗萬三邸、新築されているが中埜邸、住人はいないが屋敷は保存されている中埜半六邸などである。
きよう来た主な目的は、あるコラムに書いた「豪商邸の裏庭と蔵」についての裏をとっておきたかったからだ。
昔、千石船で運ばれる荷は沖で小舟に積み卸しされる。小舟は運河を使い町へ。運河は廻船問屋など豪商の裏庭に直接来る。そこから豪商の蔵は隣接。まさに合理的に流通が完結するのだ。
自信はあったが、今はどうだろうと見てみた。掲出の写真の通り、運河=蔵の入口であった。
豪商は運河に沿って屋敷や蔵を建てたのか、屋敷や蔵に沿って運河を造ったのか、…まあ、同時進行だろうね。ともあれ、これらの運河は豪商たちの「私道」である。どうぞ、好きにしなさい。
この屋敷は中埜半六邸。久しぶりだな、ちょいと庭に顔を出したのが災難!
「あら、西さん、久しぶり。2階でお茶の試し飲みみたいなことをしているので、のぞいていてあげてよ」
時間がないし、足が痛いので気が重かったが、声の主は、いつも仲良くしていただいている半六邸保存グループの会長・杉浦明巳さん。
さらに、そのお茶の会に参加者が少ないのを気遣っての勧誘だから、断るわけにもいかない。
2階にあがる。お茶っ葉が「煎茶」「深蒸し茶」「玉露」・・と並べてあって、お茶の葉の蘊蓄を聞かされる。
「どのお茶もお茶の木は同じだが、お茶の葉は違う・・」
ほんまかいな? と思いながら暫し聞くが、結論は「おなたたち凡人にはお茶の良さは解らない」のようだ。
ならば、ご説ごもっとも。
時間がないので、肝心のお茶が出てくる前に帰らざるを得ない。金2000円也は惜しかったが、「お茶はバカには解らない」との説諭料なら安い? はずはないよね。
お土産にお菓子を貰って運河を見ながら帰った。喉が渇いた。番茶でいいから飲みたい昼だった。