豪商の遊び?

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 尾張を代表する豪商下郷家のご子孫がこう話していた。
 「西さんね、豪商といわれる旦那衆は暇で暇で、しょうがないんだ。ほんとうは仕事もしたいんだが、番頭さんに〝それだけは止めてほしい。旦那が商売に口を出すと身代が傾く〟ときつく言われている。だから趣味に走るしかないんだよ」。

 ふう~んって聞いていたが、気をつけて見渡すとその通りだ。
 下郷家も芭蕉や蕪村の大スポンサー。半田の小栗半右衛門家も細井平州の本を何冊も出版。井口半兵衛は目をむくほどのほどの大豪邸を板垣退助にプレゼントした。
 旦那衆は暇と金を持て余し、信じられないような〝散財〟をする。ああ、羨ましい限りだ。

 半田・亀崎に伊東七郎衛という豪商がいた。「穏乗丸」という屋号で廻船と醸造で財をなした家だ。その家の庭に写真のトンネルがあった。高さ180㎝、幅90㎝。大人が普通に歩ける大きさだ。長さは15m。レンガ造りで明治初期のものだ。
 何のため? いろいろと考えるが実用性はなさそうだ。どうやら旦那の道楽の一環じゃないかと西は考えている。

 今週末に出版の『知多半島郷土史往来2号』に池上房子さんが詳しく書いているが、何のためのトンネルか考えてみると面白い。
 豪商の旦那衆は暇を持て余し散財するが、こちらは、暇を持て余すときは〝意味のない事でも考える〟しかないかな。
 そういえば、当会の竹内雄幸さんは、そのトンネルのレンガが外国性か国産か、一所懸命に分析している。よほど暇なんだろう。雄幸旦那も。

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