鈴渓会館で鈴渓義塾の話
常滑市民大学講座に呼ばれ、鈴渓会館で鈴渓義塾の話をした。鈴渓義塾の本家本元で鈴渓義塾を講義するのは、実は相当に度胸がいる。まして聴講の皆さんの殆どは常滑市民。地元の小中学校で「鈴渓義塾」を学んできた人たちだ。学校で教わっている同じことを話しても意味はない。つまり聴講の皆さんは、鈴渓義塾の全容とかどんなに偉い卒業生がいたのか等はみんな知っているのだ。
そこで思い切って視点を変え、細井平洲の思想と鈴渓義塾の信条。そして具体的な教育内容を当時の教科書から拾って、皆さんにぶつけてみた。それは皆さん、熱心に聴いてくださった。
その平洲由来の「実学」がよく分かるのが英語教育である。掲出は鈴渓義塾の1年生の期末試験の問題。この1年生とは現在でいう、小学校5年生である。そして期末試験ということはこの程度の問題が普通に解けて及第ということだ。英文をみてお分かりだろうが、これは実践英語だ。つまり国際的な行動を睨んだ実学である。ぼくたち昭和の戦後世代が習った受験英語と全く違う。挑戦してみてください。
◎下の英文を和訳せよ
Ⅰ Can the dog run as fast as the boy?
Ⅱ The eggs in the nest are white.
Ⅲ You are as bold dog to run off with my hat.
Ⅳ What a bald boy, to take the eggs of a bird!
★答は多分、これ。
Ⅰ 犬は男の子と同じくらい速く走ることができますか?
Ⅱ 巣の中の卵は白です。
Ⅲ お前は何てずうずしい犬なんだ。私の帽子をかぶって逃げるなんて。
Ⅳ 鳥の卵を取る、なんて悪い子だ!
明治21年、知多半島の寒村でこんな教育がなされていた。ぼくが中学1年生初めて習った英語が、
I am a boy そして、This is a pen ・・・こんな英語、どこで使うんだ!
これでは勝負になりません。