喘息

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 最近でこそ、喘息は子供の病気であるというイメージが定着してきた。だが、私が子供の頃はお爺さんの病気と言われていた。当然、原因はよく分かっていなかった。そのため様々な治療があった。空気の良い所へ行く転地療法などはまだまともな治療であったが、死ぬ可能性もあった電気ショックで直すとか、万能薬?アロエの成分を注射する治療などは今から考えると「まじない」と大差ないものであった。今でも「藁をもすがる」気持ちにつけ込んだ怪しい民間療法があるが、私がかつて実際に経験したのは、アマガエルを生きたまま飲む、或いはロウソクの横に垂れ下がった蝋の部分を飲むというものである。後者はある山岳宗教でのものである。
 大西洋の真ん中に浮かぶ300人程のイギリス領の島では島民の3割~5割くらいの人が喘息であり、世界一喘息患者の率が高いところとして知られている。だが、未だに遺伝であるという確かな証拠は見付かっていない。
 喘息で亡くなったとして有名なのは「李陵」や「山月記」の作者の中島敦である。そして、多くの方がまだ記憶している歌手のテレサ・テンも喘息に苦しんでいた。   つづく
* 写真は中島敦

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