『戦争考』 鳥居崇
戦争。ことに太平洋戦争について私たちは、海軍側からの情報が強くすり込まれていたようだ。真珠湾攻撃やミッドウエー海戦、戦艦大和。どれも海軍中心の戦闘であった。
この本は、陸軍側から見た「大東亜戦争史」でまとめられている。大概は知っていると思っていた、かの戦争も陸軍側からみると随分と視野が違う。山本五十六長官の戦死と国葬の問題一つにしても私たちの知り得たこととかなりの違いがあったようだ。その意味でも一読の価値を感じる。
500ページを超える大冊なので内容にまで触れる余裕はないが、著者の主張する論旨だけは引いておきたい。
「戦争はしてはならない。戦争に負けてはならない」。
著者、鳥居崇氏は、陸軍士官学校卒、愛知教育大卒、名城大学卒という一風変わった経歴をお持ちの方。半田市立亀崎中学校長も務められたので地元に知己の方々も多いだろう。
エリート軍人としての視点、教育者としての視点。そんな視点をあわせ持つ先生の乾坤一擲の力作である。