更生保護
法務省が発行する『更生保護』という月刊雑誌がある。
更生保護関連の部署や全国の保護司さんに向けてのもので、6万部発行されている。
ここに4ページを頂き、「1万5千人の弱者を救った“幸せの村” 榊原弱者救済所の史実」を、西まさるが書かせてもらった。
6万人の更生保護関係者が読む雑誌だから必ずや反響があるはずと、大いに期待している。
地元のある人と話をしていた時だ。
話題がはからずも更生保護のこととなった。
饒舌な男なのだが、この話題だけ彼は寡黙だった。
しつこく問いかけると、こう話したかったことが分かった。
「私は賢者だから、前科者に関わりたくない。関わらない」。
ふむふむ、と頷いてみせ、やや誘導尋問気味に訊くと、
「私は賢者だから、自分にとって害があっても、なんの利のないことには関わらない」。
そして、「西さんは物好きだね」と、物好き扱いされた。
物好きとは何だろう。
念のため辞書をくると、「変わったことを好むこと。好奇心が強く、普通と違ったことを好むこと。また、その人や、そのさま」。
この伝でいけば、更生保護活動は「変わったことを好むこと」になる。
保護司さんは変わり者なのだ!?
やけっぱちで悪口を書いているが、ぼくより彼の方が間違いなく賢者だろう。
そして彼のような考えがまだまだ一般的かもしれない。
ぼくの手許に『受刑人名簿』がある。
今のものじゃない。明治中期の資料だ。知多郡(知多半島全域)の刑余者の一覧表。氏名、罪名はもちろん、世帯主名、住所は枝番まで正確に書いてある。
当時はこれを民間を含む関係箇所に配布し、「前科者に注意」と触れていたのだ。
更生を助けるのでなく、差別し、追い払うのが当時の主な手段だった。
そんな明治期から平成の今まで、人間はどれほど成熟したのだろう。
せいぜい、五十歩百歩。
今日は物好きの西からの愚痴の発信でした。